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三輪そうめんの
ランクについて

三輪そうめんの4つの等級

「三輪そうめんって知ってる?」と聞かれて、
ほとんどの方は「全国的に有名な高級そうめん」くらいのイメージは持っていただけるかと思います。
しかしそれ以上のこととなると、詳しくご存じの方はそう多くないでしょう。

実は三輪そうめんといっても色々な種類があって、
細さや製法によって4種類に分けられています。
三輪そうめんの伝統技法や品質の確保・継承を目的とした
「奈良県三輪素麺工業協同組合」では、
三輪そうめんの「等級」を次のように定めています。

【 神杉(かみすぎ) 】

三輪そうめんで最も細い最高等級。
最高級の小麦粉と配合から生まれる
他にない弾力と食感が特徴です。
極寒の限られた期間のみ作られ
非常に高度な技術を要するため
生産量が少なく希少な等級です。
勇製麺では、一年間蔵で熟成させた
コシの強い「古物」のみを販売しています。

線状

極細

束紙の色

プラチナ

製造

限定された生産者

ゆで時間

約50秒

【 緒環(おだまき) 】

「神杉」の次に細く
作られた等級です。
極細専用の小麦粉を使用し
生産時期を限定。
厳しい製品検査を合格した
素麺は細いながらも弾力があり、
見た目にも美しい仕上がりです。

線状

細め

束紙の色

プラチナ

製造

限定された生産者

ゆで時間

約1分

【 瑞垣(みずがき) 】

「誉」よりも麺線が細い
三輪そうめんの等級です。
コシが強い小麦粉の配合にしています。
熟練の手延べ技術から生まれる
しっかりとしたコシと艶やかな麺肌で
上品な口当たりを演出します。

線状

やや細め

束紙の色

製造

指定生産者

ゆで時間

約1分30秒

【 誉(ほまれ) 】

全生産量の約九十%を占める
スタンダードな等級です。
手延べ製法の基本を守り、
厳選された小麦粉と塩で
小麦の風味を生かした
味わい深い素麺に仕上げています。

線状

標準

束紙の色

製造

指定生産者

ゆで時間

約2分

三輪そうめんとは?

「三輪そうめん」は、その名の通り、奈良県桜井市を中心とした三輪地方で生産されているそうめんです。
伝統的な手延べ製法で作られており、しっかりとしたコシの強さが特徴。
生地をじっくり引き延ばして仕上げた細い麺線も三輪そうめんならではのものです。

おかげさまで今日「三輪そうめん」ブランドは全国的に知られるところとなり、
「日本三大そうめん」の一つにも数えられるほど。
夏はもちろん、季節を問わず多くの方々に食されています。
その一方で、先ほどご紹介した「等級(ランク)」のように、
三輪そうめんについて意外と知られていない面も色々あるようです。

ここからは、三輪そうめんの歴史や特徴などについてご紹介していきますので、
これを機会にぜひ皆様には三輪そうめんをより身近に感じていただければと思います。

三輪そうめんの歴史

                       

三輪は日本のそうめん発祥の地といわれています。
三輪とそうめんのゆかりについては、日本最古の神社である大神神社の古い伝承に見ることができます。
『大神神社伝承』によると、奈良時代、大神神社の神主であった
大神朝狭井久佐(おおみわのあそんさいくさ)の次男・穀主(たねぬし)が、
飢饉と疫病に苦しむ民の救済を祈願したところ、三輪の里の地味が小麦の栽培に適しているのを知り、
小麦の種を蒔き三輪山の清流でそうめん作りを始めた、と伝えられています。

そうめんが庶民の食として親しまれるようになったのは江戸時代のこと。
江戸中頃の『日本山海名物図絵』(1754年)には、
伊勢参りの宿場町として栄えた三輪の町で往来者にそうめんが食された、との紹介があり

大和三輪素麺、名物なり、
細きこと糸の如く、
白きこと雪の如し、
ゆでてふとらず、
余国より出づる
そうめんの及ぶ所にあらず……
旅人をとむる旅籠やにも
名物なりとて素麺にてもてなすなり

と賞賛されているのは有名です。
その他にも、『多聞院日記』(1565年)の「麺十把、ミワヨリ来間、茶三袋返了」や、
『大和志』(1736年)の「麺線(そうめん)、三輪、馬場、金屋三村四方に売出す、世に三輪素麺と称す」など、
三輪の地でそうめん造りが盛んに行われていたことを物語る記述が複数の文献で確認されています。

近世における三輪そうめんの製造は、明治30年頃から大正期を経て昭和14~15年頃までが全盛期です。
明治28年には三輪素麺組合(のちに三輪素麺同業組合に改名)が結成。
県下において原料の精選や製品検査、販路拡張などを推進し、品質管理と業界発展に寄与しました。

第二次世界大戦中は食料統制により生産量は激減しますが、戦後は自由営業が復活。
昭和22年には奈良県三輪素麺工業協同組合が設立され、
現在も三輪そうめんの伝統技法と品質を確保・継承すべく活動しています。

三輪そうめんの特徴

現在、国内には三輪そうめんをはじめ、兵庫県の「揖保乃糸」、
香川県の「小豆島そうめん」、長崎県の「島原そうめん」など、著名なそうめんブランドが多数あります。
その中で、製品としての三輪そうめんの特徴は次の通りです。

コシの強さと歯切れの良さ

三輪そうめんの製品規格の一つに「タンパク質量が9.5%以上」があります。これは、文科省が「日本食品標準成分表」で定める手延べそうめんの基準(9.3%)を上回るものです。

麺にコシが生まれるのは、小麦粉に含まれるグルテンの働きによるもの。そしてタンパク質の高い小麦粉ほどグルテン含有量も多くなります。だから三輪そうめんには、他のそうめんよりも強いコシが生まれるのです。

また、三輪そうめんは完成後すぐに出荷せず、乾麺を貯蔵し熟成させます。これによってグルテンが変成するため、歯切れが良く、茹でても崩れにくい麺になります。

手延べ製法から生まれる細さ

三輪そうめんを形容する言葉としてよく知られているのが「細きこと糸のごとく 白きこと雪のごとし」という『日本山海名物図絵』の一節です。ここにもあるように、麺の細さという点でも際立っています。

三輪そうめんは、すべて手延べ製法で造られています。コシが強く伸縮性に優れた生地を、手延べの伝統技法で時間をかけて熟成・延ばしを繰り返すことで、非常に細い製麺が可能です。それにはもちろん、麺職人の高度な技術が必要なのも忘れてはなりません。

徹底した品質管理

伝統ある三輪そうめんブランドを守り続けるには、不断の努力が必要です。
三輪そうめんの製造業者を中心に結成された「奈良県三輪素麺工業協同組合」では、三輪そうめんの品質を確保するために、農水省「手延べそうめん」品質表示基準よりもさらに厳密な組合自主基準を定めています。

また専門の検査員が組合員の製造施設に出向いてのサンプル検査・指導、保健所による衛生指導、組合での品質検査、原材料の一括購入など、様々な取り組みで三輪そうめんの品質維持を高い水準で管理しています。

三輪そうめんの製造基準

前章で触れたように、奈良県三輪素麺工業協同組合では、
三輪そうめんの品質について厳密な組合自主基準を定めています。
本ページのはじめにご紹介した、麺の細さによって決まる三輪そうめんのランク(等級)も、
組合で設定された基準の一つです。

組合自主基準について具体的な内容は非公開となっていますが、
この自主基準にのっとって組合員が製造した三輪そうめんには、
品質保証の証として「鳥居マーク」が入った帯が巻かれています。
もちろん勇製麺の三輪そうめんには、この束紙が巻かれています。

また品質基準に類するものとして、
「三輪素麺」が農水省の地理的表示保護制度(GI)の登録認定を受けた際の登録内容が公示されています。
その中から三輪そうめんの品質基準に関する記載をご紹介します。

原料

以下の小麦粉製品規格に適合した小麦粉、食塩、水、食用植物油。

※特殊麺については、上記に加え各々の食品原料、食品添加物(香料、着色料等)を加える。

<小麦粉製品規格>

  • 普通品
  • 上級品・最上級品
  • 水分
  • 14.6%以上(15.1%以下)
  • 14.6%以上(15.1%以下)
  • 灰分
  • 0.38%以下
  • 0.36%以下
  • 粗タンパク
  • 10.0%以上
  • 10.8%以上

タンパク質量

タンパク質量は9.5%以上とする。

麺の含水率

製麺の乾燥工程では、含水率13.5%以下となるまで乾燥を行う。

麺の細さ

10g当たり、普通品で65~75本、上級品で75~95本、最上級品で95本以上とする。