はしっこの魅力。
2023.11.16|そうめんエンタメ
バームクーヘン、巻きずし、ロールケーキのはしっこ。
ローストビーフやサンドイッチの切り落とし。
切り落とされて本来なら廃棄される運命だけど、「おいしい」ところ。
ちょっと意味合いが変わってきますが、
アメリカンドッグの棒についたカリカリに、ピザの耳に、たい焼きのしっぽ。
主役じゃないけど美味しい場所。っていう意味では同じかな。
今、これらを「はしっこグルメ」というそうですね!
「はしっこグルメ」で検索してみたら、フィギュアまで出てきました。
なぜか惹かれてしまう「はしっこ」達。
通常販売されている正規品に比べてリーズナブルなことが多く、
お得感も魅力の一つだと思うのですが、
なんだか「はしっこ」には主役の場所にはない美味しさがありますよね。
そうめんにもそんな「はしっこグルメ」があるんです。
はい。こちらは「ふし」といいます。ご存じの方も多いでしょうか!
手延べ製法でそうめんを造るのに、二本の棒に八の字に麺をかけ、
熟成させながら少しずつ時間をかけて延ばしていき、
細くなった麺を乾燥させるのですが、その棒に掛かっていた曲がった部分が
「ふし」です。または「ふし麺」。この辺りではあまり聞きませんが、
地域によっては「かんざし」などと呼ばれる場合もあるようです。
この「ふし」。見ていただいたらわかると思いますが、
太さがずいぶんバラバラで不均一ですよね。
もちろん美しく細く伸ばされたそうめんの”主役部分”が美味しいのは当たり前なのですが、
この不均一な「ふし」はゆでると食べる場所によって食感が異なります。
例えば中国の「刀削麺」。手作業で切り出され、断面が三角になる刀削麺も
不均一な食感がリズムとなって、食べたときにそこが楽しく、魅力的ですよね。
「ふし」にもそんな魅力があると思います。
さて、これはどうやって食べるものなのか。
使い方がわからない。といったお声もよく聞かれるのですが、
地元の食べ方はいたってシンプル。「お味噌汁」もしくは「お吸い物」です。
ご家庭ではだしを沸かして「ふし」をガサっとつかんでそのままお鍋に入れ、
ふしから塩分が出てくるので、味を見ながらお味噌やお醤油で味付けして終わり。
簡単でしょ?
ゆで時間とか、測りません。曲がったところが柔らかくなるまで。です。
もちろん、きちんと下茹でしたほうが美味しいのですが、
下茹でしない場合は麺からとろみも出るので、かきたま汁にするのもとっても美味しいです。
お鍋の〆に入れても、ちょっと山梨の「ほうとう」みたいなイメージです。
お洒落な食べ方ではマカロニのようにグラタンや、ミネストローネに入れたり。
実は寒い季節にこそ、ピッタリな麺なんです!
ぜひ一度そうめんのはしっこグルメ、「ふし」を試してみてください。